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10倍するということは、特別な意味があります。

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 数は、たいてい10進法で書かれています。あまりに当たり前なので、そのことを取り立てて言う人はいません。ですが、だから大切なことを忘れているということもあります。 今回は、その一つである「10倍する」ということを考えてみましょう。 単純に「数」についてだけ考えますので、「ひます」でいえば、「まとまりの個数」だけの話と考えてください。「数」は、この「まとまり」を数えているわけですが、数の表現そのものが10進法という「まとめて数える」という方式を採用しているので、そこに焦点を当ててみます。 何が特別かというと、それは本当は当たり前すぎることなのですが、10をかけると、10進法では一つ大きな「まとまり」になる、ということです。つまり、「ひとまとまり」が「十まとまり」になり、「十まとまり」が「百まとまり」になり、さらに、「百まとまり」が「千まとまり」になります。 イメージとしては、以下の通りです。 このように、いくつかをまとめて次々と大きなまとまりにしていくことを、「ひとまとまりの量」の考え方では、「包み上げる」と表現しています。数表現の10進法では、その「包み上げ」が無限に行えるわけです。 それで、上のイメージを数字の計算式にしてみると、1×10=10、10×10=100、100×10=1000、となります。数字の計算では、10倍すると0が1個増えるわけです。これは、筆算で計算するときにとても便利な性質ということになります。 ですから、3×10は、「ひとまとまり」が3つあるのを、それぞれ10倍すると考えることができて、以下のようなイメージになります。 3つの「ひとまとまり」が、それぞれ「十まとまり」になるわけです。「ひとまとまり」の個数が2倍、3倍と次々と増えるというイメージではなく、まとまりの大きさが一気に一つ大きくなるというイメージです。このイメージを持てるかどうかが大切なわけです。 同様に、30×10=300、300×10=3000 は、以下のイメージです。 そこで、20倍するということを考えると、20は、10×2ですから、10倍して2倍すると考えることができます。 したがって、3×20は、3×10×2と考えることができます。 『3×10で「十」のまとまりが3個できて、それを2倍するので、「十」のまとまりが6個になる。』と考えることができます。以下のイメージ...

たし算のつまずきポイントを考えてみましょう。

 「数」というのは、順番に数えていくのが本来の姿です。ですが、一度「数」になってしまったら、その数同士を何らかの処理をして、合計の個数を求める方が、物や量を一カ所に集めてから再度数えなおすよりずっと効率が良いということになります。それが、「たし算」です。 1から9までの数同士を足す場合、言葉になっているので、「2+3」が「5」ということは、「2」と「3」と合わせて数えなおすということを何回かやれば、「2+3」と「5」が等しいことはおのずと理解されることになります。なので、「4+5」が「9」だとか、一桁のたし算のパターンは多いですが、反復学習で身に付くでしょう。最終的に、全てのパターンを覚えるのが解決策です。 問題は、「5+7」などの10以上になるたし算です。ここで確認したいことがあります。それが、10進法のルール。 ・個数は9まで数えてさらに1つ増えたら、「十」のまとまりを一つ作る。 です。「十」のまとまりも9つまでしか数えません。どんどん数が増えてしまったら、次々と大きなまとまりを作っていきます。それが、「百」「千」というまとまりになります。なので、いくつといくつで10になるのかということは、とても大切な知識になります。これも、実際に数えてみれば、全てのパターンを覚えてしまうのはそれほど難しくないでしょう。 結構大変なのが、「ひとまとまり」「十」「百」「千」と、まとまりの種類が増えてしまうと、その間のいわゆる「繰り上がり」の処理が複雑になってしまい、それを間違いなくやりとげるには相当の注意力が必要になってくるということです。 さらに、小数が混じってくると、もっと桁数が増えてしまいます。小さい数だと計算が楽だという子供たちにとっての思い込みが崩れ去ってしまう絶望の瞬間です。さらには、「筆算では右端をそろえれば、それぞれの位の位置がそろう」という使いやすい技も使えなくなって、小数点をそろえるという、右も左もそろわない筆算の式を書くことになってしまうと、子供たちの絶望感はMAXに達するわけです。 とにもかくにも、整数と小数の場合は、位をそろえれば同じ大きさの「まとまり」を足すという原則を守れるので、何とか計算方法を身につけることができると思われます。 問題は、分数です。分数では、位という考え方がありません。「ひとまとまり」の大きさは分割する個数でいかようにも変化...

小数と分数で数を表すことについて、考えてみよう。

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 さて、1より小さい数を数えるには小数や分数を使います。これが難敵です。 日本語では、9まで数えてもう1つ増えると、「十」というまとまりをつくって、それを数えます。「十」も9まで数えてもう1つ増えると、「百」というまとまりを作ります。10で大きなまとまりを作る10進法です。それにならうと、もとの「ひとまとまり」より小さい数を表すには、10等分した小さなまとまりがなければなりません。 じつは、日本語には「分」とか「厘」とか「毛」という数詞があります。 もとの「ひとまとまり」を10等分したものを「分」と言います。それをさらに10等分したものを「厘」といい、さらに10等分したものを「毛」と言います。したがって「3分4厘2毛」といえば、0.342のことです。ただし、割合に使う時は「割」の10等分が「分」になるので要注意です。何をもとの「ひとまとまり」にしているのか、確認する必要があります。 さて、アラビア数字では、「分」を0.1と書き、「厘」を0.01と書き、「毛」を0.001と書きます。なので、「0.3は、0.1が3こです。」といいます。これはちょっと変ではないでしょうか。「30は、十が3こです。」にならえば、「0.3は、分が3こです。」としなければなりません。ところが、現代の日本語では、分ゃ厘や毛は使わないことになっているので、そのかわりに0.1や0.01や0.001を使うことになっています。「1」というのは、ほんらい個数の「1」であって、「ひとまとまり」を表すものではないのに、「0.1」はそのまま読んで、しかももともとの「ひとまとまり」を10等分したものというあらたな「ひとまとまり」を表すのに使われてしまっているわけです。これは、実はおかしいのです。たぶん、今日に至るまで、数が何を数えているのかを明確にしてこなかったために「1」を「ひとまとまり」の代わりに使っていたことが大きな要因だと思います。 大きい方の10,100,1000を「十」「百」「千」と書けばそれが「ひとまとまり」なのだということがはっきりするわけで、アラビア数字でも10は「じゅう」、100は「ひゃく」と読むので、違和感なく使っているわけです。ところが小数の、0.1、0.01、0.001は「ぶ」「りん」「もう」とは読まないので、ちいさな「ひとまとまり」ができたという理解にはならないので、混乱が起こ...

「ひますの絵」で、確実に単位変換しよう。

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単位変換が不得意という人がいると思います。 かけ算をするのか、わり算をするのか、取り違えてしまうことが多いでしょう。 それぞれの単位の間には、変換定数というものがあります。 たとえば、「1分間は60秒間」です。 この60で割るかかけるかすれば、分を秒にしたり、秒を分にしたりすることができます。 さて、この「1分間は60秒間」は、「ひとまとまりの量」と考えられます。 つまり、「分」という区切りの中には、「秒」という区切りが60個あるのです。 それを「ひますの絵」に表してみます。 まずは、下段の「ひ」の部分を見てください。「分」と「秒」が同じ「時間」という量なのに、円とテープで示されているのは、ちょっと違和感があるかもしれませんが、「分」のひとまとまりの中に、「秒」が60あるということは、間違いなくわかるでしょう。 「ま」の単位は「分」で、「す」の単位は「秒」です。円とテープで示しているので、取り違えるという危険性は少ないと思います。 この図では、「ま」が「8分」になっています。なので、「す」の「?」は、「ひ」×「ま」で求めて、60×8=480となります。つまり、「480秒」です。 秒から分に変換する場合は、「す」に数値が入るわけですから、「ま」を求めるには、「す」÷「ひ」です。つまり、60で割ればいいということになります。 複雑な数値の変換定数の場合、どうしても勘違いが起こりがちですので、さらっと「ひますの絵」を書いてみれば、自信を持って乗除を判断することができます。 単位変換の計算には簡便法があるので、これも覚えておくと楽にできます。 たとえば、「1分間は60秒間」の場合、「分」と「60」と「秒」を順に取り出して、以下のような「おむすびさん」をつくります。 「1分は60秒」と唱えながら、下から「分」、となりに「60」、上に「秒」を書きます。 これを見れば、「分」に「60」をかければ「秒」が出てきて、「秒」を「60」で割れば「分」が出てくることがわかります。求めたいものを指で隠せば、さらに確実です。 これは簡便法ですので、意味を考えるには「ひますの絵」がいいと思います。 「秒」は60個でまとめて「分」にするわけですから、60進法といわれます。10でまとめれば10進法になり、逆に、10で分割すると小数になり、適切な自然数で分割すると分数になります。それらのことと単位変換...

「ひます」の用語について考えてみたいと思います。

 「ひとまとまりの量」という用語は、言いえて妙のところがあります。 人間は、なんでもかんでも、「まとまり」を作って数えているわけです。場合によっては「区切り」といってもいいかもしれません。説明の時は、どちらも活用していいことにしたいと思います。ただし、「区切り」片方だけ使うのではなく、必ず「まとまり」という言葉を並列的につかって、こちらの方がメインだということをにおわせてください。 「数」は、その「まとまり」を数えているわけです。同じ大きさの「ひとまとまりの量」がたくさんあるから、その「まとまり」を数えれば、それらの合計の大きさがわかるということになります。なので、「まとまりの個数」という用語も、言いえて妙なのです。 さて、「すべての量」という用語はどうでしょうか。これについては、今現在も考慮中です。この用語が適切なのかどうかについては、今後も検討していくつもりです。でも、今現在としては、これ以上の用語を見つけることはできていません。 たとえば、「すべての量」というのは、「ひとまとまりの量」×「まとまりの個数」で求めるわけですから、「まとまりの個数分の量」という意味合いがあります。 ところが、「すべての量」は、「測定される量」という面もあります。たとえば、何らかの長さの場合、その大きさを「数」にするには、メートルなどの何らかの単位を使って、何個分かを測るわけです。その何らかの単位は「ひとまとまりの量」です。そして、何個分かというのは「まとまりの個数」です。つまり、「測定される量」÷「ひとまとまりの量」で、「まとまりの個数」である「数」を求めるわけです。 これと同様の問題点は、「割合」の用語でも存在しています。「比べられる量」です。これは、明らかに「測定される量」という意味での用語です。「元にする量」の「何倍」から求められた量という意味合いが感じられなくなっています。「割合」の定義にこだわってしまったために、こういう片手落ちの用語が出来上がってしまうわけです。 「Aは、Bの、3倍です。」という文を考えるならば、Aが主語で、Bが元になる量で、3倍が割合なのですから、「元にする量」「何倍」「主人公」というような用語が当てはまる状況もあるわけです。 そういうさまざまなニュアンスも含めて、「すべての量」は場面によってさまざまな意味に取られるのだと承知してもらう必要性が...

「速さ」の単位変換を考えてみましょう。

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 「速さ」が「ひとまとまりの量」である話は、すでにしたのですが、「速さ」には単位変換というものがつきものです。なぜならば、「速さ」にはさまざまあるのです。 つまり、長さにはいろいろな単位があります。m、km、cm、mm、・・・ そして、時間にもいろいろな単位があります。時間、分、秒、日、年、・・・ それらの組み合わせで、いろいろな「速さ」の単位を作ることができるということです。 日常の移動では自動車や列車を使うので、1時間に何km進むかがわかりやすいでしょう。 歩く場合の速さは、時速も使いますが、1分間に何m進むかの方が使いやすいでしょう。 風の速さ=風速の場合は、1秒間に何mが実感しやすいと思われます。 地震に関係のある大陸や海底の移動などでは、1年で何mmがわかりやすいと思われます。 要するに、「速さ」の数値が、整数で2桁や3桁程度になるような単位がいいわけです。 たとえば、歩く速さの場合、「分速80m」は、「1分間に80mずつ進む」、ということで、これを「時速」、つまり、「1時間にどれだけ進むか」ということに換算したいと思います。 ここで大切なのは、時間の単位変換です。そのためには覚えておかなければならないことがあります。今回は、「1時間は60分間」です。では、「ひますの絵」を書いてみましょう。 速さ「ひ」は、「1分間で80m」です。ですから、この「ひますの絵」で使う単位は「分」と「m」です。 「1時間は60分間」ですから、時間「ま」を60にします。 すると、道のり「す」は、「ひ」×「ま」ですから、80×60=4800です。 長さの単位はmですから、60分間で4800m進むということになります。 ですから、「時速4800m」という答えになります。ここで、この4800をどう取り扱うかということになります。数値が大きすぎないでしょうか。4桁は扱いにくいと思います。 そこで、長さの単位を変換しましょう。数値を小さくするには、大きな単位を使えばいいので、「1kmは1000m」を使いましょう。今回はその詳細ははぶいて、4.8kmとします。 これで、適切な数値で単位変換が完了します。時速4.8kmです。 適切な数値かどうかを判断するのは、厄介な問題です。経験の少ない子供たちにとっては判断がつきにくいと思われます。それに配慮するときは、出題者側が問題内容で明確にする...

「密度」は、ひとまとまりの量である。

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 「ひとまとまりの量」は理科や科学の数量にもたくさんあります。今回は、「密度」を取り上げてみたいと思います。 「密度」は、固体と液体の場合と気体の場合は違う数値を使いますが、まずは、固体や液体で使われる、g/c㎥を取り上げます。これは、「1c㎥当たりの質量」ということです。もう、すでに「ひとまとまりの量」であることはわかりましたね。 たとえば、鉄の密度は室温付近で、7.874g/c㎥です。500gの鉄がどのくらいの体積かを求めたいとなると、以下のような「ひますの絵」を書きます。 このような、理解しにくいもの、そして数値がややこしくなった場合には、「ひ」のところに書く[]書きの単位が大切になってきます。それを明確にしておくと、「す」の単位は「g」で「ま」の単位は「c㎥」であることが明確になって、取り違えることが少なくなります。 さらには、「ま」を求めるのですから、「す」÷「ひ」で、500÷7.874という式も、かけ算と取り違えることが少なくなると思います。数値の桁数が増えると、わり算をしたくないという傾向に走りがちですので、それを押しとどめる効果があります。 「密度」についても、一度この「ひますの絵」のイメージができてしまえば、簡単な問題ではいちいち「ひますの絵」を書く必要はなくなると思います。それでも、頭の中にこのイメージを作れれば、乗除を取り違える割合はぐっと下がるはずです。

値段、単価、価格、金額、代金、さて、何をどう使うといいのでしょうか。

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 言葉というものは、世の中で使われているので、同じようなことを表すのに複数の言葉があって、状況によって使い分けたり、言い換えたり、なかなかあいまいなことが多いものです。 なので、問題文に使われている用語がどんな意味で使われているのかを明確にしておかないと、とんでもない取り違えをしてしまうということになりかねません。さらには、問題文の中の用語が自分が普段使っている意味合いと違った意味で使われていたりすると、どんなに注意していたとしても、問題の内容を取り違えてしまうということが起こりうることになります。 そこで、「ひます」の用語を使って、問題の内容を眺めてみることをお勧めします。最も大切なことは、どんな「ひとまとまりの量」があるのかということを明確にすることです。その他の用語を使って説明すると、逆に混乱させてしまいかねないことがあります。 たとえば、簡単な問題「1枚23円の画用紙を3枚買います。代金はいくらですか。」というような場合、「代金は、単価×個数だから・・・」というような説明をすると、「単価」という言葉がわからないというようなことが起こります。それよりは、「ひますの絵」を活用して、「この問題には「ひとまとまりの量」がありますね。それはどれですか。」などと、考えていく方が、よほど優しい問題把握ということになります。「1枚23円」ですから、以下のような「ひますの絵」が出来上がります。 この図を見ながら「代金は、どれですか?」と問えば、「すべての量です。」という話になり、「何算ですか。」問えば、「かけ算です。」ということになるでしょう。「ひます」の乗除関係では、「す」は「ひ」×「ま」ですから、様々な用語を使って公式のようなことを覚える必要性は一切ありません。 言葉というのは便利なのですが、それは理解している人たちにとってそうなのであって、学習している当人にとっては、言葉による説明が理解を邪魔しているということが往々にあります。「ひとまとまの量」の用語とその数量関係に慣れ親しむことによって、その他の用語に振り回されずに、問題内容の本質を把握することができるようになるのです。

平均の速さの問題に挑戦してみましょう。

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 平均の速さという考え方があります。瞬間の速さという考え方もあります。 実のところ速さとして考えられているもののほとんどは、平均の速さです。 なぜなら、速さは移動した長さをかかった時間で割って求めているからです。 自動車の速度計や野球ボールのスピード計は、瞬間の速さといっていいと思いますが、それらの速さというのは瞬間瞬間で違うわけで、「A地点からB地点までを時速50kmで走ると、何時間かかるでしょう。」なんていう問題では、この速さは平均の速さとしか考えられません。 つまり、平均の速さというのは、「移動区間全体の長さ」と「かかった時間」から求めるしかないということを理解しておく必要があります。 さて、具体的な問題を見てみましょう。無答や間違いの多い問題です。 「A地点とB地点を往復します。行きは時速40km、帰りは時速60kmで走った場合、平均の速さはいくらでしょうか。」 この問題の場合、分かっていることが少ないので、「こんなのは答えが出ないんじゃないですか。」とあきらめてしまう人が多いと思われます。または、「平均だから(40+60)÷2で、時速50kmでしょう。」という人が多い問題です。 まずは、「ひますの絵」に表して考えてみましょう。 「ひますの絵」に表しても、分かるのは行きと帰りの速さだけだということがわかります。それでも、答えが出るということは、道のりの値にはかかわらないで平均の速さを求めることができるということです。そこで、この問題で大切なのはAB間の道のりは行きも帰りも同じ値だということです。 この問題に対応する方法は2つ考えられます。 算数的に解くならば、AB間の道のりを具体的な数値にしてみます。 数学的に解くならば、AB間の道のりを文字にしてみます。 では、道のりを具体的な数値にする場合を見てみましょう。道のり「す」を数値にすると、速さ「ひ」がわかっているので、「す」÷「ひ」で、時間「ま」を求めることになります。ということは、40でも60でも割り切れる数値がいいということになります。なので、道のり「す」を120kmとしてみましょう。 行きの時間は、120÷40で3時間、帰りの時間は、120÷60で2時間です。 さて、平均の速さを求めるには、トータルの道のりとかかった時間ですから、上の「ひますの絵」の何がわかるといいでしょう。 往復の道のりの「す...

比には、共通の「ひとまとまりの量」があるのです。

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 割合とかかわりが深いのが、比の考え方です。 これも、「ひとまとまりの量」の考え方で、「ひますの絵」に表してみると、考え方のポイントが見えてきます。それは、2つの量に対しての共通の「ひとまとまりの量」が明確に表現されているかどうかということです。 以下の「ひますの絵」を見てください。「16と24の比を求めなさい。」という問いです。 これでは、正しい答えに到達していません。ただし、考え方としては正しい方向です。 つまり、16と24の共通の「ひとまとまりの量」を考えて、それぞれの「まとまりの個数」を求めるということです。従来の指導では、「16と24を共通の数でわる」しか、子供たちには印象に残らないと思います。大切なのは、共通の「ひとまとまりの量」があるということを意識できるかどうかです。これで「ひます」の乗除関係を活用することが意識できます。 そのうえで、最も簡単な比にするということは、共通の「ひとまとまりの量」を最大にするということです。そこで、「最大公約数」という用語が自然に出てくるはずです。 次の「ひますの絵」を見てください。 上下の「ひますの絵」を見比べれば、どちらがよりよいのかわかると思います。最も簡単な比を求めるという意味も、最大公約数で割るということも、説明がつくでしょう。 2つの量の比が2:3であるということは、共通の「ひとまとまりの量」に対しての割合が、2倍と3倍だということです。 これらは、以下のような問題に取り組むときに大きな効果を発揮すると考えられます。 「30mのロープを、2:3に分けます。どのように分けるといいですか。」 これを「ひますの絵」にしてみましょう。2つの量が2:3なのですから、以下のような「ひますの絵」が書けます。2つの量を合わせて30なので、それは上に書き加えておきます。 共通の「ひとまとまりの量」:「ひ?」を求めましょう。 一目瞭然です。30÷(2+3)で、求まります。あとは、 A?=6×2、B?=6×3、で、2つの量が求まります。 比を考えるときには、共通の「ひとまとまりの量」を考えることがいかに大切なことかがわかるのではないでしょうか。 たぶん、この「ひますの絵」のイメージができれば、個人で問題を解くためには「ひますの絵」を実際に書く必要性はなくなると思います。頭の中でイメージしただけで、正しい考え方と正しい解法の...

じつは、数は1から9までしか数えていない。

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 今回は数と数えるということについて考えてみたいと思います。 皆さん分っていると思いますが、数えるとき、1から9までしか数えていません。数えているのは、「ひとまとまりの量」の「まとまりの個数」です。 その先はどうしているかというと、「十」というまとまりをつくって、「十1」「十2」「十3」・・・と数えるわけですが、「十」は、「十」のまとまりが一つあることを忘れないために唱えているだけで、数えているわけではありません。「十」と唱える代わりに、指を1本折っておいて、「1、2、3、・・・」と数えてもいいわけです。その後「十」のまとまりがふえれば、「十」を1から9まで数えて「2十」「3十」「4十」・・・と言っていくわけです。 その後も、「百」のまとまりを作り、さらに、「千」のまとまりを作り、どんどん大きなまとまりにして、その個数を1から9まで数えるということを繰り返しているわけです。 数字には0もあるじゃないかとか、10と書くじゃないかとか文句を言う人もいると思いますが、アラビア数字で大きな数を表現するには「十」や「百」のまとまりがないことを示すのに0が必要だったので0が作られただけで、0から数える人はいないわけです。漢数字では数を表現するために0は必要ないわけで、アラビア数字の0は書いてあるけど読んだためしはどなたもないはずです。アラビア数字は素晴らしい表現方法ですが、様々な意味が込められていて、初心者にはその意味するところを区別して考えることがむずかしいくなっているのではないかと思います。 その点についても、数えるのは「ひとまとまりの量」の「まとまりの個数」だとするとか、10のまとまりを「十」と書き表したりするとかすれば、ある程度区別して理解することができるのではないかと思います。これも、日本語の表記方法があるからこそできる説明の仕方です。 9まで数えてもう一つ増えたら、「十」のまとまりをつくる、というのが、「10進法」の基本です。これも、「ひとまとまりの量」という考え方の範疇に入るわけですが、数の表現の範囲内のことで、量にかかわる「ひとまとまりの量」とは別の領域の話だということを理解していただく必要があります。 でも、この10進法のルールはとても大切で、数でいろいろなことを表現するにはそのルールを理解して活用できるようになっていなければならないわけです。これがき...

「割合」と「数」とを、比べてみましょう。

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 まずは、「数」について 「数」(すう)は、「まとまりの個数」です。 以下の「ひますの絵」を見てください。 メートルで長さを測るときの状況です。 「ひとまとまりの量」が「m」です。それは、長さの「単位」です。 「すべての量」(測定する量)が「m」(単位)の3つ分であることがわかります。 したがって、「まとまりの個数」が「数」です。 次に、「割合」についてですが、「割合」は「何倍」と同じです。 以下の「ひますの絵」を見てください。 「ひとまとまりの量」が「4m」になっています。 「すべての量」(測定する量)が「ひとまとまりの量」の3つ分であることがわかります。 したがって、この場合「まとまりの個数」が「割合」です。 このようにしてみると、「数」と「割合」というのは、全く同じものであって、「何倍」とも同じものということがわかります。違いは、なんでしょう。 「数」の場合は、「ひとまとまりの量」が何らかの単位ですから、「数」そのものが「すべての量」が「単位」のいくつ分かということを示しています。 「割合」の場合は、「ひとまとまりの量」が基本単位で測った場合の任意の数量ですから、「割合」は、その任意の数量のいくつ分かを示しています。だから、「ひ」×「ま」のかけ算をして、その数量の基本単位で測った場合の数量を求めなければならないわけです。 とにもかくにも、「数」も「割合」も「まとまりの個数」であるということが理解できれば、あとは「ひます」の乗除関係などを適用して様々な問題を解いていけばいいということになります。

割合の「元にする量」は、「ひとまとまりの量」です。

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 「割合」を苦手にしている人は多いと思います。それには、「速さ」と同様に様々な理由があると思いますが、主な原因として、小数や分数、そして「割」「分」「%」が出てくるからではないでしょうか。 まずは、基本的な考え方を「ひますの絵」を使って見てみましょう。 実は、「割合」は「何倍」と同じことです。 「ひ」と「す」のテープ図の数量は何でも構いません。長さの「m」でもいいし、重さの「g」でもいいし、金額の「円」でも構いません。同じ種類の数量を比べるのなら、何でもいいわけです。なので、単位は[?]としています。 この「ひますの絵」を見て、分かることを言葉にしてみます。 「40の3倍は、120です。」「120は、40の3倍です。」 そして、式に表してみると、 40×3=120、120÷3=40、120÷40=3 となります。3つの乗除関係があります。 これを「元にする量」「割合」「比べられる量」という言葉を使って表わすと、 40×3=120は、「元にする量」×「割合」=「比べられる量」 120÷3=40は、「比べられる量」÷「割合」=「元にする量」 120÷40=3は、「比べられる量」÷「元にする量」=「割合」 となります。「割合」と「何倍」は同じことを表していることがわかると思います。 さて、用語の対応を見ると、「元にする量」が「ひとまとまりの量」です。「まとまりの個数」が「割合」です。「比べられる量」が「すべての量」です。この「比べられる量」という用語には、ちょっとした違和感があります。定着も悪いと思います。 これらの3つの乗除関係は、「ひます」の3つの乗除関係と全く同じです。ですから、「まとまりの個数」が「割合」や「何倍」で、「ひとまとまりの量」が「元にする量」だということを理解することが大切です。残りの量は、「比べる量」であろうが、「比べられる量」であろうが、何と言おうと「ひますの絵」では「すべての量」になるわけです。 次の「ひますの絵」を見てください。 この図では、「まとまりの個数」が2.5です。つまり、2.5倍ということです。 ですから、この図から式を作ると、 40×2.5=?、?÷2.5=40、?÷40=2.5 と、なります。?は、いくつかというと、100です。 では、次の図ではどうでしょう。 この図では、「まとまりの個数」が0.5です。つまり、0.5倍と...

速さは「ひとまとまりの量」です。

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速さについて考えてみましょう。 「速さ」がわかりにくい理由はいくつかあるのですが、まずは基本的な考え方から「ひとまとまりの量」という視点で見てみます。次の二つの考え方は理解できるでしょうか。 (1)一定の長さを少ない時間で移動したら、「はやい」と考えます。 (2)一定の時間で大きな長さを移動したら、「はやい」と考えます。 どちらも、「ひとまとまりの量」と考えることができます。 陸上競技のトラック競技は、(1)の考え方です。100mを9秒台で走ったら、すごくはやい。ところが、「速さ」といった場合は、(2)の考え方です。 (2)の考え方を「ひますの絵」で表してみましょう。 内容は、「時速40kmで3時間走ったら120km進みます。」です。 「速さ」はいろいろな表現が使われます。「時速40km」は「1時間で40km進む」ということです。「毎時40km」とも言います。それらがすべて「ひとまとまりの量」だということを理解するには、上のような「ひますの絵」を活用するといいでしょう。 用語を対応させましょう。「速さ」は「ひとまとまりの量」です。「時間」は「まとまりの個数」です。「道のり」は「すべての量」です。ですが、「時間」とか「道のり」という用語を使う必要性はあるでしょうか。もちろんこれらの用語を理解して使えるようになることも大切だと思いますが、実のところ、「速さ」を理解するのにこれらの用語はじゃまになっていないでしょうか。いろいろな主義主張があるようで、「時速40km」というような言い方は教科書ではほとんど使われていません。「毎時40km」は本当に理解されているでしょうか。「時間」はあいまいな言葉です。「1時間は60分」の「時間」でしょうか。それとも、分間とか秒間とか、そういう意味も含んだ「時間」でしょうか。さらに、「道のり」という言葉はなじみがあるでしょうか。一般的には「距離」ではないでしょうか。 これらの用語は誤解を生みやすく、世の中ではなじみのないものもあります。ですが、「ひますの絵」を指し示しながらこれらの言葉を使えば、どんな言葉を使ったとしても何を言っているのかわからないということはないし、誤解も防げるのではないでしょうか。 さらに、この「ひますの絵」を見れば、「速さ」と「時間」と「道のり」の乗除関係がわかります。しかも、そういう用語を使わなくてもわかるのです。「速...

小さい子供でも使える、分かりやすい用語が必要なのです。

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 算数教育とか数学教育とかという研究があって、算数や数学を教えているあらゆる学校の先生はその研究成果を元にして子供たちを教えているわけです。そこで使われている用語があるわけですが、それがとってもむずかしいのです。 たとえば、等分徐(とうぶんじょ)と包含徐(ほうがんじょ)という言葉を聞いたことはあるでしょうか。単位量とか、単位あたり量とか、単位量当たりの大きさとか、はどうでしょう。当然ですが、小学校の算数の授業でこのような言葉が出てくることはありません。しかし、先生方が算数の学習の内容を語るときは、これらの言葉が使われるのです。 それって、おかしくありませんか。子供たちが使えない言葉で、教える内容が語られているということは、授業の中でどんな言葉を使って学びあえばいいのでしょうか。家庭でお父さんやお母さんが子供たちに教えようとしても「小学校の算数はむずかしくて教えられない。」というのは、当然なのです。子供たちと大人が語り合える用語がないのです。 そこで、以下の「ひますの絵」を見てください。 具体的には何かわかりませんが、ある品物が1個40円であることがわかります。 3個で120円だということもわかるでしょう。 さてここで、40円をかくしてみましょう。かくした40円を求めるにはどうしたらよいでしょう。当然、120を3で割ります。では、どうしてそうするのでしょうか。説明してください。 困りませんか。 「値段を求めるには、代金を個数で割ればいいでしょう。」といえばいいでしょうか。 「代金」は適切な用語でしょうか。「代金」にはほかの意味もありますね。 「値段」は適切な用語でしょうか。問題によっては「単価」とか「価格」とかさまざまな用語が使われます。それらの意味するところは同じでしょうか。 そもそも、「代金を個数で割ればいい」というのは、説明になっているでしょうか。 「ひます」の用語を使えばどうでしょう。ただし、前提として以下のことを確認しておく必要があります。「ひますの絵」を見れば、直感的に分かることなのですが、「ひ」×「ま」=「す」です。「す」÷「ま」=「ひ」です。「す」÷「ひ」=「ま」です。これは、どんな「ひとまとまりの量」でもいえることです。 そして、「1個?円」は、「ひとまとまりの量」だということを確認すれば説明終了です。 「ひます」の乗除関係は、どんな「ひとま...

数(すう)というものを、考えてみましょう。

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 数(すう)とは、数(かず)といってもいいわけですが、要するに数えるための言葉で、それを他人に伝えることができるし、記憶したり記録したりすることができるわけです。さらに、それを使って数処理をすることもできます。それがどんどん高度になっていくと、現代数学のようなとんでもないものにまで発展するわけですが、もともとは数えるための言葉として出現したものと思います。 日本語では、「一二三四五六七八九」と数えるわけですが、言葉ですから国がちがえはその名付け方も違うわけです。日本語でもすばやく数えるときは、「ひ、ふ、み、よ、いつ、む、な、や、こ」というような言葉も使います。複数の種類があって、手短に言える言葉になっているということは、数えるということが実に身近なものであって、広くひんぱんに使われているということがわかります。 みんなが使っているわけですが、数(すう)というのは、本当のところ何なのでしょうか。それを明確に説明するための言葉はあるでしょうか。 たとえば、お菓子を買う時、大きめのものだったら、1個、2個、3個、と数えます。いくつかまとめて箱や袋に入ったものだったら、1箱、2箱、3箱、または、1袋、2袋、3袋、と数えます。つまり、何らかの区切りや入れ物があると、それを数えているわけです。 ケーキだと、ホールケーキを1個、2個、と数えるときもあるでしょうが、ショートケーキでも同じです。でも、それらを一緒にして1,2,3とは数えないと思います。 今までは数えるということを、何らかの区切り、何らかの入れ物、等しい大きさ、等しい価値、というような言葉を使って説明して来たと思われます。でも、これらは煩雑で不明解です。その他の具体例を考えたとしても、何を数えているのかを明確に指し示す共通の言葉がなくて、その具体例で使われている用語を使うしかありませんでした。 そこで、「ひとまとまりの量」という用語を使って考えてみましょう。 数えているのは、等しい大きさの「ひとまとまりの量」だとしたらどうでしょうか。 そして、数(すう)とは、「まとまりの個数」だと考えればどうでしょうか。 これだけで、何かすっきりした感じがしないでしょうか。 もともと、何らかのまとまりや区切りがあるものは、大きさや価値が等しいかを判別して、数えていきます。区切られていないものについては、何らかの基本的な「ひとま...

ひとまとまりの量という考え方は、なぜ必要なのでしょう。

 「ひとまとまりの量」という用語は、私が提唱しています。 「ひとまとまりの量」という考え方の範疇に入るものは、あらわる数量にかかわります。 長さや質量などの基本単位は、すべて「ひとまとまりの量」です。 物の値段は、「ひとまとまりの量」です。 割合の「元にする量」は、「ひとまとまりの量」です。 速さは、「ひとまとまりの量」です。 密度は、「ひとまとまりの量」です。 単位量や単位あたり量や単位量あたりの大きさなどといわれるものは、すべて「ひとまとまりの量」です。 つまり、今までバラバラに考えてきた単位や割合や単位量当たりの大きさなどを、一つの考え方で理解することができるということです。 そして、「ひとまとまりの量」には、「まとまりの個数」と「すべての量」という用語がセットになっています。単位量などの用語には、これらに相当するものが見当たりません。つまり、これらの数量関係を説明する用語がないのです。 「ひ」と「ま」と「す」の間には、乗除関係があって、それらが明確です。 「ひ」×「ま」は「す」です。これは、「すのかけ算」といいます。 「す」÷「ひ」は「ま」です。これは、「まのわり算」といいます。 「す」÷「ま」は「ひ」です。これは、「ひのわり算」といいます。 あらゆる乗除関係は、この3つで考えていくことができます。 今までの用語を活用しても、このようなことを説明することはできません。 さらに、図に表して説明することもできません。適切な様式の図がないのです。 あいまいな用語を使わないで、明確に数量関係を説明していくには、「ひとまとまりの量」という考え方と関連する用語を使っていく必要性があるのです。

「ひますの絵」の書き方を紹介します。

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 「ひますの絵」は、誰でも簡単に書けることを期待しています。 ただし、様々な事情から、「ひます」の順番が下からになっています。なので、ちょっと慣れる必要性があります。そこで初めに書いてほしいのが、ノルディック十字です。 これを書くことによって、図を描くスペースが確保されます。 つづいて、以下のように縦線の左側に下から「ひ」「ま」「す」と書き入れます。 その後、「ひ」の右側に以下のような円とテープを書き入れます。 ここまでは、どんな問題でもほとんど同じなので、迷う必要はありません。 そのあと、問題によって、書き込むことがちがってきます。その視点として大切なのが、その問題にある「ひとまとまりの量」がどんなものなのかを判別することです。それについては、後ほど様々な例で見ていきたいと思います。

「ひますの絵」を使うと、問題全体を見渡すことができるのです。

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 今回は、ひとつだけ例題をしてみましょう。 「20mのロープから、1本6mのロープをつくります。何本できて、何mあまりますか。」 さて、この問題には「ひとまとまりの量」があります。「1本6m」だということはわかると思います。そして、大事なのが20mのロープ全部使うのではなく、あまりがあるということです。つまり、「ひますの絵」の「すべての量」は20mではないかもしれません。 ここで「ひますの絵」を書くということの意義は、問題全体の状況を把握して、どんな数量がどのようにかかわっているのかを直感的に理解することができるようになる、ということです。「ひますの絵」を書ける、または理解できるということは、問題を解く学習者にとっても、解説をする指導者にとっても、共通のツールを持つという意味で、とても大切なことだと思います。問題の状況を把握するということ自体が、問題解決の糸口です。 では、実際に表現してみましょう。 ほぼ、完成形になっていますが、手順を考えてみましょう。 ・ノルディック十字を書いて、左側に「ひます」を書いて、下段に円とテープを書きます。 ・「1本6m」ですから、「ひとまとまりの量」にかかわる単位、[本]と[m]を[]を使って書き入れておきましょう。 ・「ひ」×「ま」で求まる「す」と、元々の長さの「20m」は違うと思われるので、「20m」のテープ図は、ひますの絵の上の方に書いておきます。線分図でもいいです。 ・そこで、「ま」を増やしていきましょう。「ま」が3になると、「す」は18になります。「ま」が4になると、「す」は24になってしまいます。つまり、「ま」は3が最大です。 ・「す」には18mが入ります。 ・あまりは、元の長さの20mから、「す」の18mを引いた値になります。 このように、「ひますの絵」を活用すると、問題に出てくる数量が何者で、それらがどのようにかかわっているのかを明確に把握することができるのです。 従前からの図でも、20mから6mずつ取っていくということは表現できると思います。しかし、それらが何者なのかということはわかっていなかったかもしれません。「ひとまとまりの量」と「まとまりの個数」と「すべての量」という用語を使って、「ひ」「ま」「す」を意識しながら問題を解いていくということは、従前の図とは格段の差があるのです。

「ひますの絵」という新しいツールを紹介します。

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 数量をわかりやすく説明するために、様々な図が工夫されてきました。どれも有用なのですが、似たようなものが多いので、どこをどう見ればいいのか迷ってしまうものもたくさんあります。そこで、新しい図を工夫してみました。 「ひとまとまりの量」と「まとまりの個数」と「すべての量」を総合的に見渡せる図です。名前は「ひますの絵」とします。「ひますの図」でもいいのですが、ごろが悪いので、「ひますの絵」としています。お絵描きする感覚で気軽に書いてほしいという願いも込められています。 まずはご覧ください。 図は手書きで、ささっと書けなければならないので、できるだけシンプルにしています。 吹き出しの「ひ」は「ひとまとまりの量」のことです。 「ま」は「まとまりの個数」、「す」は「すべての量」、を表しています。 「ひ」の右側に [ m ] という表示がありますが、今回の例として代表的な量の長さ、そして代表的な単位のメートルを使っているということです。 なので、「す」のテープは何らかの長さを表しています。「ま」の円が3つあるので、「まとまりの個数」が3であることを示しています。 つまり、この図では、「す」が「ひ」の3つ分だということをしめしています。「ひとまとまりの量」がm:メートルですから、「ま」が3ならば、「す」は3mということができます。 この図を活用して、量や数にかかわることを考えていきたいと思います。