数(すう)というものを、考えてみましょう。
数(すう)とは、数(かず)といってもいいわけですが、要するに数えるための言葉で、それを他人に伝えることができるし、記憶したり記録したりすることができるわけです。さらに、それを使って数処理をすることもできます。それがどんどん高度になっていくと、現代数学のようなとんでもないものにまで発展するわけですが、もともとは数えるための言葉として出現したものと思います。
日本語では、「一二三四五六七八九」と数えるわけですが、言葉ですから国がちがえはその名付け方も違うわけです。日本語でもすばやく数えるときは、「ひ、ふ、み、よ、いつ、む、な、や、こ」というような言葉も使います。複数の種類があって、手短に言える言葉になっているということは、数えるということが実に身近なものであって、広くひんぱんに使われているということがわかります。
みんなが使っているわけですが、数(すう)というのは、本当のところ何なのでしょうか。それを明確に説明するための言葉はあるでしょうか。
たとえば、お菓子を買う時、大きめのものだったら、1個、2個、3個、と数えます。いくつかまとめて箱や袋に入ったものだったら、1箱、2箱、3箱、または、1袋、2袋、3袋、と数えます。つまり、何らかの区切りや入れ物があると、それを数えているわけです。
ケーキだと、ホールケーキを1個、2個、と数えるときもあるでしょうが、ショートケーキでも同じです。でも、それらを一緒にして1,2,3とは数えないと思います。
今までは数えるということを、何らかの区切り、何らかの入れ物、等しい大きさ、等しい価値、というような言葉を使って説明して来たと思われます。でも、これらは煩雑で不明解です。その他の具体例を考えたとしても、何を数えているのかを明確に指し示す共通の言葉がなくて、その具体例で使われている用語を使うしかありませんでした。
そこで、「ひとまとまりの量」という用語を使って考えてみましょう。
数えているのは、等しい大きさの「ひとまとまりの量」だとしたらどうでしょうか。
そして、数(すう)とは、「まとまりの個数」だと考えればどうでしょうか。
これだけで、何かすっきりした感じがしないでしょうか。
もともと、何らかのまとまりや区切りがあるものは、大きさや価値が等しいかを判別して、数えていきます。区切られていないものについては、何らかの基本的な「ひとまとまりの量」を設定して、その何個分かを数えます。そこに「ひとまとまりの量」があるから数えられるのです。もともと区切られてはいないものについて見てみましょう。
以下の「ひますの絵」を見てください。
「す」に書かれているテープが、何らかの量です。それが長さなら、「ひ」に書かれている[m]で測定するわけです。この図では「まとまりの個数」が3になっています。それが「数」ということになります。数である「まとまりの個数」には単位はありません。単純に「3」と書きます。量である「すべての量」はメートルの3つ分ということで、mという単位をつけて「3m」と書きます。数と量をそのように区別することができます。そして、和や差を計算をするときは、数だけで考えればいいということになります。数えるためには、同じ大きさの「ひとまとまりの量」が必要です。等しい価値の「ひとまとまりの量」といってもいいでしょう。そして、「数」とは、「まとまりの個数」なのです。これらの用語と「ひますの絵」を使えば、数にかかわる基本的な考え方やさまざまな現象を納得のいくように説明することができるのです。

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