平均の速さの問題に挑戦してみましょう。
平均の速さという考え方があります。瞬間の速さという考え方もあります。
実のところ速さとして考えられているもののほとんどは、平均の速さです。
なぜなら、速さは移動した長さをかかった時間で割って求めているからです。
自動車の速度計や野球ボールのスピード計は、瞬間の速さといっていいと思いますが、それらの速さというのは瞬間瞬間で違うわけで、「A地点からB地点までを時速50kmで走ると、何時間かかるでしょう。」なんていう問題では、この速さは平均の速さとしか考えられません。
つまり、平均の速さというのは、「移動区間全体の長さ」と「かかった時間」から求めるしかないということを理解しておく必要があります。
さて、具体的な問題を見てみましょう。無答や間違いの多い問題です。
「A地点とB地点を往復します。行きは時速40km、帰りは時速60kmで走った場合、平均の速さはいくらでしょうか。」
この問題の場合、分かっていることが少ないので、「こんなのは答えが出ないんじゃないですか。」とあきらめてしまう人が多いと思われます。または、「平均だから(40+60)÷2で、時速50kmでしょう。」という人が多い問題です。
まずは、「ひますの絵」に表して考えてみましょう。
「ひますの絵」に表しても、分かるのは行きと帰りの速さだけだということがわかります。それでも、答えが出るということは、道のりの値にはかかわらないで平均の速さを求めることができるということです。そこで、この問題で大切なのはAB間の道のりは行きも帰りも同じ値だということです。この問題に対応する方法は2つ考えられます。
算数的に解くならば、AB間の道のりを具体的な数値にしてみます。
数学的に解くならば、AB間の道のりを文字にしてみます。
では、道のりを具体的な数値にする場合を見てみましょう。道のり「す」を数値にすると、速さ「ひ」がわかっているので、「す」÷「ひ」で、時間「ま」を求めることになります。ということは、40でも60でも割り切れる数値がいいということになります。なので、道のり「す」を120kmとしてみましょう。
行きの時間は、120÷40で3時間、帰りの時間は、120÷60で2時間です。
さて、平均の速さを求めるには、トータルの道のりとかかった時間ですから、上の「ひますの絵」の何がわかるといいでしょう。往復の道のりの「す」の値と、往復の時間の「ま」の値ですね。
道のり「す」は、120×2=240、時間「ま」は、3+2=5
したがって、速さ「ひ」を求めるには、「す」÷「ま」ですから、240÷5=48
よって、平均の速さは、時速48km、と答が出ます。
数学的に解くには、AB間の道のり「す」をdkmとすると、「ひますの絵」は以下のようになります。
上の図で、行きの時間「ま」は、d÷40、帰りの時間「ま」は、d÷60下の図で、往復の道のり「す」は、2d、往復の時間「ま」は、
となるので、平均の速さ「ひ」を求めるには、と、dが消えて、48という答えが出ます。「ひますの絵」を見ながら、問題を解いていくと、必要な情報がすっきりと頭に入ってくると思います。そして、解く手順も見えてくると思います。むずかしい問題であっても、「ひますの絵」を書き進めていくことで、問題の内容が全体的に見えてくるわけです。基本的な問題や今回と同じような問題ならば、もう「ひますの絵」を書かなくても、速さの問題を解くことができるのではないでしょうか。
さまざまな数量について、「ひとまとまりの量」を見つけ、「ひます」の関係で整理して見るということは、数量の関係を調べるための基本中の基本の方法なのです。





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