「ひますの絵」を使うと、問題全体を見渡すことができるのです。

 今回は、ひとつだけ例題をしてみましょう。

「20mのロープから、1本6mのロープをつくります。何本できて、何mあまりますか。」

さて、この問題には「ひとまとまりの量」があります。「1本6m」だということはわかると思います。そして、大事なのが20mのロープ全部使うのではなく、あまりがあるということです。つまり、「ひますの絵」の「すべての量」は20mではないかもしれません。

ここで「ひますの絵」を書くということの意義は、問題全体の状況を把握して、どんな数量がどのようにかかわっているのかを直感的に理解することができるようになる、ということです。「ひますの絵」を書ける、または理解できるということは、問題を解く学習者にとっても、解説をする指導者にとっても、共通のツールを持つという意味で、とても大切なことだと思います。問題の状況を把握するということ自体が、問題解決の糸口です。

では、実際に表現してみましょう。

ほぼ、完成形になっていますが、手順を考えてみましょう。

・ノルディック十字を書いて、左側に「ひます」を書いて、下段に円とテープを書きます。
・「1本6m」ですから、「ひとまとまりの量」にかかわる単位、[本]と[m]を[]を使って書き入れておきましょう。
・「ひ」×「ま」で求まる「す」と、元々の長さの「20m」は違うと思われるので、「20m」のテープ図は、ひますの絵の上の方に書いておきます。線分図でもいいです。

・そこで、「ま」を増やしていきましょう。「ま」が3になると、「す」は18になります。「ま」が4になると、「す」は24になってしまいます。つまり、「ま」は3が最大です。
・「す」には18mが入ります。
・あまりは、元の長さの20mから、「す」の18mを引いた値になります。

このように、「ひますの絵」を活用すると、問題に出てくる数量が何者で、それらがどのようにかかわっているのかを明確に把握することができるのです。

従前からの図でも、20mから6mずつ取っていくということは表現できると思います。しかし、それらが何者なのかということはわかっていなかったかもしれません。「ひとまとまりの量」と「まとまりの個数」と「すべての量」という用語を使って、「ひ」「ま」「す」を意識しながら問題を解いていくということは、従前の図とは格段の差があるのです。

コメント

このブログの人気の投稿

平均の速さの問題に挑戦してみましょう。

「ひます」の用語について考えてみたいと思います。

割合の「元にする量」は、「ひとまとまりの量」です。