たし算のつまずきポイントを考えてみましょう。
「数」というのは、順番に数えていくのが本来の姿です。ですが、一度「数」になってしまったら、その数同士を何らかの処理をして、合計の個数を求める方が、物や量を一カ所に集めてから再度数えなおすよりずっと効率が良いということになります。それが、「たし算」です。
1から9までの数同士を足す場合、言葉になっているので、「2+3」が「5」ということは、「2」と「3」と合わせて数えなおすということを何回かやれば、「2+3」と「5」が等しいことはおのずと理解されることになります。なので、「4+5」が「9」だとか、一桁のたし算のパターンは多いですが、反復学習で身に付くでしょう。最終的に、全てのパターンを覚えるのが解決策です。
問題は、「5+7」などの10以上になるたし算です。ここで確認したいことがあります。それが、10進法のルール。
・個数は9まで数えてさらに1つ増えたら、「十」のまとまりを一つ作る。
です。「十」のまとまりも9つまでしか数えません。どんどん数が増えてしまったら、次々と大きなまとまりを作っていきます。それが、「百」「千」というまとまりになります。なので、いくつといくつで10になるのかということは、とても大切な知識になります。これも、実際に数えてみれば、全てのパターンを覚えてしまうのはそれほど難しくないでしょう。
結構大変なのが、「ひとまとまり」「十」「百」「千」と、まとまりの種類が増えてしまうと、その間のいわゆる「繰り上がり」の処理が複雑になってしまい、それを間違いなくやりとげるには相当の注意力が必要になってくるということです。
さらに、小数が混じってくると、もっと桁数が増えてしまいます。小さい数だと計算が楽だという子供たちにとっての思い込みが崩れ去ってしまう絶望の瞬間です。さらには、「筆算では右端をそろえれば、それぞれの位の位置がそろう」という使いやすい技も使えなくなって、小数点をそろえるという、右も左もそろわない筆算の式を書くことになってしまうと、子供たちの絶望感はMAXに達するわけです。
とにもかくにも、整数と小数の場合は、位をそろえれば同じ大きさの「まとまり」を足すという原則を守れるので、何とか計算方法を身につけることができると思われます。
問題は、分数です。分数では、位という考え方がありません。「ひとまとまり」の大きさは分割する個数でいかようにも変化します。つまり、分母がちがえば「ひとまとまり」の大きさが違うので数えられないし、分子を単純に足すことができません。
分母を同じにして、「ひとまとまり」の大きさをそろえるということをしないと、足すということができないわけです。
この、「同じ大きさのひとまとまりしか、数えることができない。」という、数の大大大原則にあらためて直面すると、今までの楽な計算に慣れ切っていた子供たちは、絶望の底に沈んでしまうわけです。たぶん、授業では「同じ大きさのものしか足せない。」というようなことは何度も接した言葉だと思いますが、それが身に沁みてはいなかったということです。
なので、分数のたし算は、今までのたし算の総復習という意味も持たせて、たし算とは何かということを学びなおす必要があるし、数というものを理解するためのチャンスと考えなければならないと思います。
引き算は繰り下がりが発生するだけですから、たし算と同様のポイントに配慮すれば、つまずきを解消することはできると思います。
ただし、単純な計算とは言え、本人の努力や集中力などが充分でないと簡単に身に付く技ではないので、無理強いしないことが大切です。
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