比には、共通の「ひとまとまりの量」があるのです。
割合とかかわりが深いのが、比の考え方です。
これも、「ひとまとまりの量」の考え方で、「ひますの絵」に表してみると、考え方のポイントが見えてきます。それは、2つの量に対しての共通の「ひとまとまりの量」が明確に表現されているかどうかということです。
以下の「ひますの絵」を見てください。「16と24の比を求めなさい。」という問いです。
これでは、正しい答えに到達していません。ただし、考え方としては正しい方向です。つまり、16と24の共通の「ひとまとまりの量」を考えて、それぞれの「まとまりの個数」を求めるということです。従来の指導では、「16と24を共通の数でわる」しか、子供たちには印象に残らないと思います。大切なのは、共通の「ひとまとまりの量」があるということを意識できるかどうかです。これで「ひます」の乗除関係を活用することが意識できます。
そのうえで、最も簡単な比にするということは、共通の「ひとまとまりの量」を最大にするということです。そこで、「最大公約数」という用語が自然に出てくるはずです。
次の「ひますの絵」を見てください。
上下の「ひますの絵」を見比べれば、どちらがよりよいのかわかると思います。最も簡単な比を求めるという意味も、最大公約数で割るということも、説明がつくでしょう。これらは、以下のような問題に取り組むときに大きな効果を発揮すると考えられます。
「30mのロープを、2:3に分けます。どのように分けるといいですか。」
これを「ひますの絵」にしてみましょう。2つの量が2:3なのですから、以下のような「ひますの絵」が書けます。2つの量を合わせて30なので、それは上に書き加えておきます。
共通の「ひとまとまりの量」:「ひ?」を求めましょう。一目瞭然です。30÷(2+3)で、求まります。あとは、
A?=6×2、B?=6×3、で、2つの量が求まります。
比を考えるときには、共通の「ひとまとまりの量」を考えることがいかに大切なことかがわかるのではないでしょうか。
たぶん、この「ひますの絵」のイメージができれば、個人で問題を解くためには「ひますの絵」を実際に書く必要性はなくなると思います。頭の中でイメージしただけで、正しい考え方と正しい解法の道筋が見えてしまうでしょう。A?=30×(2/5)というような式も、自然に作れるようになるのではないかと期待できます。そして、だれかに説明するときには、「ひますの絵」を書けばいいのです。
意識されていなかった「ひとまとまりの量」を目に見えるようにするということは、数学的な思考をするために、とても重要なことだと思います。



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