速さは「ひとまとまりの量」です。

速さについて考えてみましょう。
「速さ」がわかりにくい理由はいくつかあるのですが、まずは基本的な考え方から「ひとまとまりの量」という視点で見てみます。次の二つの考え方は理解できるでしょうか。
(1)一定の長さを少ない時間で移動したら、「はやい」と考えます。
(2)一定の時間で大きな長さを移動したら、「はやい」と考えます。
どちらも、「ひとまとまりの量」と考えることができます。
陸上競技のトラック競技は、(1)の考え方です。100mを9秒台で走ったら、すごくはやい。ところが、「速さ」といった場合は、(2)の考え方です。

(2)の考え方を「ひますの絵」で表してみましょう。
内容は、「時速40kmで3時間走ったら120km進みます。」です。

「速さ」はいろいろな表現が使われます。「時速40km」は「1時間で40km進む」ということです。「毎時40km」とも言います。それらがすべて「ひとまとまりの量」だということを理解するには、上のような「ひますの絵」を活用するといいでしょう。

用語を対応させましょう。「速さ」は「ひとまとまりの量」です。「時間」は「まとまりの個数」です。「道のり」は「すべての量」です。ですが、「時間」とか「道のり」という用語を使う必要性はあるでしょうか。もちろんこれらの用語を理解して使えるようになることも大切だと思いますが、実のところ、「速さ」を理解するのにこれらの用語はじゃまになっていないでしょうか。いろいろな主義主張があるようで、「時速40km」というような言い方は教科書ではほとんど使われていません。「毎時40km」は本当に理解されているでしょうか。「時間」はあいまいな言葉です。「1時間は60分」の「時間」でしょうか。それとも、分間とか秒間とか、そういう意味も含んだ「時間」でしょうか。さらに、「道のり」という言葉はなじみがあるでしょうか。一般的には「距離」ではないでしょうか。

これらの用語は誤解を生みやすく、世の中ではなじみのないものもあります。ですが、「ひますの絵」を指し示しながらこれらの言葉を使えば、どんな言葉を使ったとしても何を言っているのかわからないということはないし、誤解も防げるのではないでしょうか。

さらに、この「ひますの絵」を見れば、「速さ」と「時間」と「道のり」の乗除関係がわかります。しかも、そういう用語を使わなくてもわかるのです。「速さ」×「時間」=「道のり」、「道のり」÷「時間」=「速さ」、「道のり」÷「速さ」=「時間」、なんていう式を3つとも覚える必要性はありません。「ひますの絵」を見ながら、何を求めたいのかを把握して、「ひます」の乗除関係を適用させるだけです。

「速さ」を理解する要点は、移動する長さを単位時間で区切った「ひとまとまりの量」だということです。「ひとまとまりの量」だということがわかれば、あとの内容は「ひますの絵」を見れば当たり前のこととして理解されるはずです。

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