小さい子供でも使える、分かりやすい用語が必要なのです。

 算数教育とか数学教育とかという研究があって、算数や数学を教えているあらゆる学校の先生はその研究成果を元にして子供たちを教えているわけです。そこで使われている用語があるわけですが、それがとってもむずかしいのです。

たとえば、等分徐(とうぶんじょ)と包含徐(ほうがんじょ)という言葉を聞いたことはあるでしょうか。単位量とか、単位あたり量とか、単位量当たりの大きさとか、はどうでしょう。当然ですが、小学校の算数の授業でこのような言葉が出てくることはありません。しかし、先生方が算数の学習の内容を語るときは、これらの言葉が使われるのです。

それって、おかしくありませんか。子供たちが使えない言葉で、教える内容が語られているということは、授業の中でどんな言葉を使って学びあえばいいのでしょうか。家庭でお父さんやお母さんが子供たちに教えようとしても「小学校の算数はむずかしくて教えられない。」というのは、当然なのです。子供たちと大人が語り合える用語がないのです。

そこで、以下の「ひますの絵」を見てください。

具体的には何かわかりませんが、ある品物が1個40円であることがわかります。
3個で120円だということもわかるでしょう。

さてここで、40円をかくしてみましょう。かくした40円を求めるにはどうしたらよいでしょう。当然、120を3で割ります。では、どうしてそうするのでしょうか。説明してください。

困りませんか。

「値段を求めるには、代金を個数で割ればいいでしょう。」といえばいいでしょうか。

「代金」は適切な用語でしょうか。「代金」にはほかの意味もありますね。
「値段」は適切な用語でしょうか。問題によっては「単価」とか「価格」とかさまざまな用語が使われます。それらの意味するところは同じでしょうか。
そもそも、「代金を個数で割ればいい」というのは、説明になっているでしょうか。

「ひます」の用語を使えばどうでしょう。ただし、前提として以下のことを確認しておく必要があります。「ひますの絵」を見れば、直感的に分かることなのですが、「ひ」×「ま」=「す」です。「す」÷「ま」=「ひ」です。「す」÷「ひ」=「ま」です。これは、どんな「ひとまとまりの量」でもいえることです。

そして、「1個?円」は、「ひとまとまりの量」だということを確認すれば説明終了です。

「ひます」の乗除関係は、どんな「ひとまとまりの量」にも適用できます。「速さ」でも、「密度」でも、「圧力」でも、全て適用できます。「割合」では、「元にする量」が「ひとまとまりの量」で、「割合」が「まとまりの個数」です。それさえ判断できれば、何算をするのかをいちいち説明する必要はないのです。

上の問題では「す」÷「ま」は、120円を3等分するわけですから、「等分徐」です。「す」÷「ひ」は、120円の中に40円がいくつあるのかを求めるのですから、「包含徐」です。でも、「ひます」の用語では、「等分徐」は「ひ」を求めるわり算で、「包含徐」は「ま」を求めるわり算ということになります。特別な用語を作る必要もないと思います。

「ひますの絵」を見ながら、「ひ」を求めるには、「す」を「ま」で割ればいいと理解し、「ま」を求めるには、「す」を「ひ」で割ればいいと理解できるはずです。ちなみに、かけ算は「す」を求めるための「ひ」×「ま」しかありません。

蛇足ですが、「単位量」などの用語には「まとまりの個数」や「すべての量」にあたる用語がありません。だから、説明にはまったく使えないのです。

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「ひます」の用語について考えてみたいと思います。

割合の「元にする量」は、「ひとまとまりの量」です。