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「ひとまとまりの量」の視点で見ると、単位変換と反比例は密接に関係しているのです。

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 単位変換というのは、 たとえば、mmで測った数を、cmで測った数に直す、というようなことです。 もう少し一般的に言うと なんらかの測定する量を、ある単位で測った数から、別の単位で測った数に直すということです。 そのときに、全く測りなおすのではなく、ある単位と別の単位の大きさの違いを何倍で表して、その何倍を使って直すわけです。 まずは、もともとの測定に戻って、なんらかの測定量(測定する量、測定される量)を2つの単位で測定した場合を「ひますの絵」で表して観察してみましょう。 具体的には「ある測定量をmmとcmで測定する。」という状況です。 まず、mmで測ってみました。「単位」は「ひ」=「ひとまとまりの量」に示されています。「数」は「ま」=「まとまりの個数」ですから、それを数えると「10」になっています。 つまり、この「測定量」は「10mm」と測定されたということです。 さて、この「測定量」をcmで測ってみましょう。 1cmは1mmの10倍ですから、上のような「ひますの絵」になります。 つまり、この「測定量」は「1cm」と測定されたということです。 さて、mmで測った数とcmで測った数を比べてみましょう。簡単に言えば、大きな単位で測れば、小さな数になり、小さな単位で測れば、大きな数になる、ということです。 もっとくわしく見ると、単位の大きさが10倍になると、数は10分の1になります。 逆に見ると、単位の大きさが10分の1になると、数は10倍になります。 ここで思い出すことがあると思います。反比例です。 以前の記事で扱いましたが、「す」が定数の場合、「ひ」と「ま」は互いに反比例します。 つまり、「ひ」:「単位」が2倍、3倍になれば、「ま」:「数」は2分の1、3分の1になるということです。 以下の一連の図を見てみましょう。 「ひ」:「単位」が2倍、3倍、4倍、6倍と大きくなると、「ま」:「数」が2分の1、3分の1、4分の1、6分の1になっていきます。 たとえば、「1ヤードは3フィート」ですから、以下の2つの「ひますの絵」を比べてください。 上の図では、測定量は12フィートです。下の図では測定量は4ヤードです。 「1ヤードは3フィート」を使って単位変換をしてみましょう。上の2つの図を見ながら下の文を読んでみてください。 「12フィートをヤードにするには、3倍大きい単位...

比例と反比例を、「ひますの絵」で眺めてみましょう。

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 比例になるか、反比例になるか、を判定する方法は、なにかあいまいな感じがします。 抽象的で、実態が見えないし、具体的なものがイメージできません。 小学校では、 ・xが、2倍、3倍になるときに、yも、それにともなって、2倍、3倍になるとき、 yは、xに、比例する。 中学校では、 ・aを定数として、y=ax、と表されるとき、yは、xに、比例する。 などという、定義のようなものがありますが、「ふうーん」という程度にしか頭に入ってこないものだと思います。とくに、小学校のものは充分条件とは言えません。 どうしてそうなのかの結論を言うと、「比例や反比例になるさまざまな事象に共通する視点というものがなく、表現するモデルもなかった」ということになります。 つまり、「速さが一定の時、道のりは時間に比例します。」とか、「単価が一定の時、代金は個数に比例します。」とか、「力が一定の時、圧力は面積に反比例します。」とか、個々の具体例は示せても、それらをまとめ上げる概念がなかったということになります。そして、xとyの対応表とかy=axなどの式とかグラフとか、そういうもので特性を観察してみるということしか、共通の性質を眺めてみることができなかったということです。いろいろな関数の判別とか特性を学ぶには式やグラフは大切なものですが、それを読み取るのはなかなか大変です。比例と反比例についてはそこまで求めなくても、どんな事象なのか直感的に理解して、日常の生活に役に立つように学ぶことの方が大切だと思います。 さて、ここで、「ひとまとまりの量」という考え方を導入してみましょう。この考え方はあらゆる数量に適用できるので、比例や反比例はすべて、「ひます」の乗除関係としてとらえることができます。そして、「ひますの絵」を使えば、あらゆる種類の比例や反比例の特性を観察することができます。 では、具体的に見ていきましょう。 まず、「速さが一定の時、道のりは時間に比例します。」を表現してみます。 以下の3つの「ひますの絵」を見比べてみましょう。 「ひますの絵」を理解している人はわかると思いますが、 「速さ」は「ひ」:「ひとまとまりの量」です。この図では時速5kmになっています。 時間で区切った移動の長さで、1時間当たり5kmずつ進むということです。 「時間」は「ま」:「まとまりの個数」です。 「道のり」は「す」...

「速さ」の問題で、「時間」を求める一連の問題を、「ひます」の絵で眺めてみましょう。

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「 勉強はたくさん問題を解くことだ。」といわれますが、勉強しなければならないことは算数・数学以外にもたくさんあるので、同じような問題をパズルのように何問も何問も解くというのはちょっと時間の無駄ともいえます。数問解いたら、あとそれと同じような問題はしなくてもいいくらいの自信をつけたいものです。 自信をつけるには、それらの問題の基本的な考え方や問題内容の把握方法、そして、注意点などを効率よく見つけていくことです。そこでぜひ覚えてほしいのが、「ひとまとまりの量」という考え方です。この考え方は、あらゆる問題に適用できます。 とうとつですが、(このブログの他の投稿にいろいろと説明はありますが、) 「速さ」は「ひとまとまり量」です。「時間」で区切った「移動の長さ」です。 かかった「時間」は「まとまりの個数」と考えます。 かかった時間での「移動の長さ」を「すべての量」とします。 「速さ」の問題で特に注意してほしいのは、単位の種類がたくさんあるということです。 つまり、「時間」には、秒、分、時、日、年、などがあります。「長さ」にはmm、m、km、Mm、など、そして、cmもあります。尺・寸もあれば、インチ・ヤードもあります。 では、第1問です。 「秒速24mで飛んでいる鳥が、600m飛ぶのにかかる時間を求めなさい。」 これを以下のように「ひますの絵」に表してみます。 確認します。 「ひ」のところに書かれているのが「ひとまとまりの量」で、この問題では「速さ」です。円は時間の「1秒」を表しています。テープは1秒で移動した長さの「24m」を表しています。「1秒」で区切った移動の長さなので、「ひとまとまりの量」といいます。 「ま」のところに書いてある円は、「秒」の個数です。この問題で求めるものです。 「す」のところに書いてあるテープは、飛ぶ長さの「600m」です。 「ひ」と「ま」と「す」には、明白な乗除関係があります。「ま」をもとめるにはどんな計算をするといいでしょう。この図を見れば自然と「す」を「ひ」で割ればいいということがわかるでしょう。「す」÷「ひ」=「ま」です。 本来は、「速さ」と「時間」と「道のり」の乗除関係というかもしれませんが、そういう用語にこだわる必要はありません。かけ算かわり算かは「ひます」で分かればいいのです。それは、「ひますの絵」の位置関係で一目瞭然です。基本は、「ひ」...

求め方の説明がむずかしい比の問題を、「ひますの絵」にして考えてみましょう。

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 比の問題は、様々なパターンがあって、何をどうすればいいのか説明のむずかしいものや、もとめ方の手順の区別のつけにくいものがたくさんあります。その代表例を「ひますの絵」に表して考えてみましょう。6年生の教科書に出ている典型的な問題です。 第1問目「ホットケーキを作るのに、砂糖と小麦粉を重さの比が5:7になるように混ぜます。小麦粉を210g使うとき、砂糖は何g必要ですか。」 比の問題なので、「割合」とか「元にする量」とか使いたくなると思いますが、なかなかそれがしっくりといかないでしょう。それで、「ひますの絵」にしてみます。その時の要点は、共通の「ひとまとまりの量」があるという1点です。「ひとまとまりの量」の考え方では、「比」つまり「割合」は、共通の「ひとまとまりの量」に対する「まとまりの個数」ですから、この問題は簡単に「ひますの絵」にすることができます。 「まとまりの個数」がけっこう多いので、円を書くのに途中を省略していますが、まじめに円を5個と7個書いても差し支えありません。文の読み取りで大切なのは、砂糖と小麦粉の位置と比の5:7の位置を取り違えないことです。 求め方の手順を確認します。 ① 共通の「ひとまとまりの量」:@をもとめます。      小麦粉の「す」が210で、「ま」が7ですから、     共通の「ひ」= 「す」÷「ま」で、210÷7=30 ② 共通の「ひとまとまりの量」が求まったのですから、砂糖の「す」をもとめます。     共通の「ひ」が30で、 砂糖の「ま」が5ですから、     砂糖の「す」= 「ひ」×「ま」で、30×5=150 したがって、砂糖は150g必要です。 第2問目「カフェオレを1200mL作ろうと思います。牛乳とコーヒーを3:5で混ぜるとき、牛乳は何mL必要ですか。」 この問題では、カフェオレは牛乳とコーヒーを合わせたものなので、それぞれの「す」を合わせたテープ図を「ひますの絵」の上部に書く必要があります。そこが注意点です。 合計のテープ図を書くスペースがなかったら、以下のような形でもかまいません。 この問題でも、共通の「ひとまとまりの量」を書き込んでおくと、分かりやすくなると思います。また、この問題のポイントである牛乳とコーヒーを合わせた...

10倍するということは、特別な意味があります。

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 数は、たいてい10進法で書かれています。あまりに当たり前なので、そのことを取り立てて言う人はいません。ですが、だから大切なことを忘れているということもあります。 今回は、その一つである「10倍する」ということを考えてみましょう。 単純に「数」についてだけ考えますので、「ひます」でいえば、「まとまりの個数」だけの話と考えてください。「数」は、この「まとまり」を数えているわけですが、数の表現そのものが10進法という「まとめて数える」という方式を採用しているので、そこに焦点を当ててみます。 何が特別かというと、それは本当は当たり前すぎることなのですが、10をかけると、10進法では一つ大きな「まとまり」になる、ということです。つまり、「ひとまとまり」が「十まとまり」になり、「十まとまり」が「百まとまり」になり、さらに、「百まとまり」が「千まとまり」になります。 イメージとしては、以下の通りです。 このように、いくつかをまとめて次々と大きなまとまりにしていくことを、「ひとまとまりの量」の考え方では、「包み上げる」と表現しています。数表現の10進法では、その「包み上げ」が無限に行えるわけです。 それで、上のイメージを数字の計算式にしてみると、1×10=10、10×10=100、100×10=1000、となります。数字の計算では、10倍すると0が1個増えるわけです。これは、筆算で計算するときにとても便利な性質ということになります。 ですから、3×10は、「ひとまとまり」が3つあるのを、それぞれ10倍すると考えることができて、以下のようなイメージになります。 3つの「ひとまとまり」が、それぞれ「十まとまり」になるわけです。「ひとまとまり」の個数が2倍、3倍と次々と増えるというイメージではなく、まとまりの大きさが一気に一つ大きくなるというイメージです。このイメージを持てるかどうかが大切なわけです。 同様に、30×10=300、300×10=3000 は、以下のイメージです。 そこで、20倍するということを考えると、20は、10×2ですから、10倍して2倍すると考えることができます。 したがって、3×20は、3×10×2と考えることができます。 『3×10で「十」のまとまりが3個できて、それを2倍するので、「十」のまとまりが6個になる。』と考えることができます。以下のイメージ...

たし算のつまずきポイントを考えてみましょう。

 「数」というのは、順番に数えていくのが本来の姿です。ですが、一度「数」になってしまったら、その数同士を何らかの処理をして、合計の個数を求める方が、物や量を一カ所に集めてから再度数えなおすよりずっと効率が良いということになります。それが、「たし算」です。 1から9までの数同士を足す場合、言葉になっているので、「2+3」が「5」ということは、「2」と「3」と合わせて数えなおすということを何回かやれば、「2+3」と「5」が等しいことはおのずと理解されることになります。なので、「4+5」が「9」だとか、一桁のたし算のパターンは多いですが、反復学習で身に付くでしょう。最終的に、全てのパターンを覚えるのが解決策です。 問題は、「5+7」などの10以上になるたし算です。ここで確認したいことがあります。それが、10進法のルール。 ・個数は9まで数えてさらに1つ増えたら、「十」のまとまりを一つ作る。 です。「十」のまとまりも9つまでしか数えません。どんどん数が増えてしまったら、次々と大きなまとまりを作っていきます。それが、「百」「千」というまとまりになります。なので、いくつといくつで10になるのかということは、とても大切な知識になります。これも、実際に数えてみれば、全てのパターンを覚えてしまうのはそれほど難しくないでしょう。 結構大変なのが、「ひとまとまり」「十」「百」「千」と、まとまりの種類が増えてしまうと、その間のいわゆる「繰り上がり」の処理が複雑になってしまい、それを間違いなくやりとげるには相当の注意力が必要になってくるということです。 さらに、小数が混じってくると、もっと桁数が増えてしまいます。小さい数だと計算が楽だという子供たちにとっての思い込みが崩れ去ってしまう絶望の瞬間です。さらには、「筆算では右端をそろえれば、それぞれの位の位置がそろう」という使いやすい技も使えなくなって、小数点をそろえるという、右も左もそろわない筆算の式を書くことになってしまうと、子供たちの絶望感はMAXに達するわけです。 とにもかくにも、整数と小数の場合は、位をそろえれば同じ大きさの「まとまり」を足すという原則を守れるので、何とか計算方法を身につけることができると思われます。 問題は、分数です。分数では、位という考え方がありません。「ひとまとまり」の大きさは分割する個数でいかようにも変化...

小数と分数で数を表すことについて、考えてみよう。

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 さて、1より小さい数を数えるには小数や分数を使います。これが難敵です。 日本語では、9まで数えてもう1つ増えると、「十」というまとまりをつくって、それを数えます。「十」も9まで数えてもう1つ増えると、「百」というまとまりを作ります。10で大きなまとまりを作る10進法です。それにならうと、もとの「ひとまとまり」より小さい数を表すには、10等分した小さなまとまりがなければなりません。 じつは、日本語には「分」とか「厘」とか「毛」という数詞があります。 もとの「ひとまとまり」を10等分したものを「分」と言います。それをさらに10等分したものを「厘」といい、さらに10等分したものを「毛」と言います。したがって「3分4厘2毛」といえば、0.342のことです。ただし、割合に使う時は「割」の10等分が「分」になるので要注意です。何をもとの「ひとまとまり」にしているのか、確認する必要があります。 さて、アラビア数字では、「分」を0.1と書き、「厘」を0.01と書き、「毛」を0.001と書きます。なので、「0.3は、0.1が3こです。」といいます。これはちょっと変ではないでしょうか。「30は、十が3こです。」にならえば、「0.3は、分が3こです。」としなければなりません。ところが、現代の日本語では、分ゃ厘や毛は使わないことになっているので、そのかわりに0.1や0.01や0.001を使うことになっています。「1」というのは、ほんらい個数の「1」であって、「ひとまとまり」を表すものではないのに、「0.1」はそのまま読んで、しかももともとの「ひとまとまり」を10等分したものというあらたな「ひとまとまり」を表すのに使われてしまっているわけです。これは、実はおかしいのです。たぶん、今日に至るまで、数が何を数えているのかを明確にしてこなかったために「1」を「ひとまとまり」の代わりに使っていたことが大きな要因だと思います。 大きい方の10,100,1000を「十」「百」「千」と書けばそれが「ひとまとまり」なのだということがはっきりするわけで、アラビア数字でも10は「じゅう」、100は「ひゃく」と読むので、違和感なく使っているわけです。ところが小数の、0.1、0.01、0.001は「ぶ」「りん」「もう」とは読まないので、ちいさな「ひとまとまり」ができたという理解にはならないので、混乱が起こ...