「速さ」の問題で、「時間」を求める一連の問題を、「ひます」の絵で眺めてみましょう。

「 勉強はたくさん問題を解くことだ。」といわれますが、勉強しなければならないことは算数・数学以外にもたくさんあるので、同じような問題をパズルのように何問も何問も解くというのはちょっと時間の無駄ともいえます。数問解いたら、あとそれと同じような問題はしなくてもいいくらいの自信をつけたいものです。

自信をつけるには、それらの問題の基本的な考え方や問題内容の把握方法、そして、注意点などを効率よく見つけていくことです。そこでぜひ覚えてほしいのが、「ひとまとまりの量」という考え方です。この考え方は、あらゆる問題に適用できます。

とうとつですが、(このブログの他の投稿にいろいろと説明はありますが、)
「速さ」は「ひとまとまり量」です。「時間」で区切った「移動の長さ」です。
かかった「時間」は「まとまりの個数」と考えます。
かかった時間での「移動の長さ」を「すべての量」とします。

「速さ」の問題で特に注意してほしいのは、単位の種類がたくさんあるということです。
つまり、「時間」には、秒、分、時、日、年、などがあります。「長さ」にはmm、m、km、Mm、など、そして、cmもあります。尺・寸もあれば、インチ・ヤードもあります。

では、第1問です。
「秒速24mで飛んでいる鳥が、600m飛ぶのにかかる時間を求めなさい。」

これを以下のように「ひますの絵」に表してみます。

確認します。
「ひ」のところに書かれているのが「ひとまとまりの量」で、この問題では「速さ」です。円は時間の「1秒」を表しています。テープは1秒で移動した長さの「24m」を表しています。「1秒」で区切った移動の長さなので、「ひとまとまりの量」といいます。
「ま」のところに書いてある円は、「秒」の個数です。この問題で求めるものです。
「す」のところに書いてあるテープは、飛ぶ長さの「600m」です。

「ひ」と「ま」と「す」には、明白な乗除関係があります。「ま」をもとめるにはどんな計算をするといいでしょう。この図を見れば自然と「す」を「ひ」で割ればいいということがわかるでしょう。「す」÷「ひ」=「ま」です。
本来は、「速さ」と「時間」と「道のり」の乗除関係というかもしれませんが、そういう用語にこだわる必要はありません。かけ算かわり算かは「ひます」で分かればいいのです。それは、「ひますの絵」の位置関係で一目瞭然です。基本は、「ひ」×「ま」=「す」です。

この問題では、「す」÷「ひ」=「ま」を使うので、600÷24=25で、「ま」がわかります。

ここで、単位を確認しましょう。「まとまりの個数」は円で表されています。下の「ひ」を見ると、円の単位は「秒」です。だから、「ま」の単位も「秒」です。

順番が逆になりましたが、テープの単位は上下とも「m」です。だから、単純にわり算していいのです。

ということで、答えは、25秒です。

以上ですが、「ひます」の乗除関係は3つあります。今までに出てきた「ひ」×「ま」=「す」、「す」÷「ひ」=「ま」、そして、「す」÷「ま」=「ひ」です。
それぞれ、「速さ」「時間」「道のり」の何が求められるのか、「ひますの絵」を見て確認してください。これらのことを言葉で暗記する必要性はありません。

次に、第2問です。
「分速15kmの飛行機が、90km飛ぶのにかかる時間を求めなさい。」

これも、「ひますの絵」にしてみましょう。

「ひます」の位置関係と乗除関係を、イメージすることができるようになりましたか。
単位を書き込む場合の場所もこの図と同じにしておくといいでしょう。

単位が変わっても、「ひます」の乗除関係は変わらないということがわかると思います。
この問題も「ま」を求める問題なので、「す」÷「ひ」で求めます。

90÷15=6

時間の単位は「分」ですから、答えは、15分間、です。

とにかく、速さの問題の時は、単位に注意してください。

第3問です。
「時速40kmの自動車が、100km進むのにかかる時間を求めなさい。」

すでに、どんな計算をすればいいのか、イメージできたでしょうか。
頭の中に「ひますの絵」をイメージすれば、いちいち図を書かなくてもわかると思います。ですが、この問題の場合、ちょっと注意しなければならないことがあるので、また「ひますの絵」を書いてその注意点を説明してみましょう。

「す」と「ひ」から「ま」を求めるので、わり算です。
ところが、100は40で割り切れません。100から40,40と、とっていくと、20余ってしまいます。なので、20÷40は0.5ですから、答えは、2.5となります。
このまま、答えを、2.5時間、としていいでしょうか。
それでいい場合もありますが、日常では、2.5時間という言い方はしないと思います。

「速さ」の「ひますの絵」では、時間は円で表されていますから、アナログ時計をイメージすればいいでしょう。上の「ひますの絵」の「ま」の一番右に書かれている半円は、0.5時間なので、30分間だと分かるでしょう。

おかたく言えば、0.5時間を分に単位変換して、30分間です。
そこのところのくわしいことはここでは省略しますが、小数や分数で表された「時」は、通常「分」に直すことが求められます。これは一般常識です。実のところ、子供にとっては、この一般常識はむずかしいと思います。判断に困ると考えられます。それでも、そういうことも学んでいく必要性があるということです。

では、第4問目です。
「ちえさんは、4.5km離れたおじさんの家まで自転車で行きます。ちえさんが分速180mで進むとすると、おじさんの家まで行くのに何分かかりますか。」

この問題で気づかなければならないことは何でしょうか。
長さの単位が、kmとmと2つあることです。違う単位の数値を計算してはいけません。足しても引いてもかけてもわってもいけません。2mと3kmを足して、5としてはいけないことは、誰でもわかるでしょう。ところが「速さ」の問題になると、そういうことをすとんと忘れてしまう人がいます。要注意です。

このような場合のポイントですが、様々な単位があるときは、「ひとまとまりの量」で使われている単位を使うとうまくいく場合が多いです。「速さ」の問題の場合は、「速さ」で使われている「時間」と「長さ」の単位を使うと楽だということです。
この問題の場合「時間」は「分」、「長さ」は「m」です。
ということで、落ち着いて「ひますの絵」を書いてみましょう。

「ひ」の速さの単位は、「分」と「m」です。
なので、「す」の単位も、「m」にしましょう。4.5kmは4500mです。
「す」のテープの中に書き込んでおくと、間違が少なくなるでしょう。

あとは、「ま」を求めるだけですから、「す」÷「ひ」で、求められます。
4500÷180
蛇足ですが、この手のわり算は、すぐ筆算をしたりしないでください。
両方の数を割り切れる簡単な数を探して、10で割って=450÷18、9で割って=50÷2=25
とすれば、ほぼ暗算で答えが出ます。

よって、答えは、25分間、です。

次に、第5問です。
「遠足で、8.4kmの道のりのうち、4.8kmを歩きました。ここまで歩くのにかかった時間は2時間でした。残りの道のりも同じ速さで歩くとすると、あと何時間かかりますか。」

こういう複雑な問題は、分からないことがたくさんあって、どういう手順で、何をもとめなければならないのか、一読しただけではわからないことが多いと思います。そういうときこそ、「ひますの絵」を書くといいのです。
この問題の場合の書く順番ですが、ノルディック十字でスペースを確保したら、左側に「ひます」を書いて、あとは上から順に書いて行けると思います。「ひますの絵」は図ですから、どこから書くという順番は決まっていません。なので、スペースを確保するノルディック十字は大切です。

これを書いた手順を確認しましょう。
「す」のさらに上のスペースに、遠足の道のり、8.4kmのテープを書きます。
「す」のところに、ここまでの道のりとここからの道のりのテープを分けて書きます。
ここまでの道のりのテープの中に「4.8」を書きます。
ここまでの時間は2時間です。なので、ここまでの「ま」のところに円を2つ書きます。
そのあと「ひ」の円とテープを書きますが、テープの大きさがどれくらいがいいか判断できると思います。間違いのないように、円とテープの単位も書き込んでおくといいでしょう。

さて、何をどう求めていったらいいでしょう。

言葉で説明する必要もないと思いますが、次の2つが求められます。
①ここまでの「速さ」は、ここまでの「す」と「ま」から
②これからの「道のり」は、遠足の道のりとここまでの道のりから
それで、①は4.8÷2=2.4、②は8.4-4.8=3.6

この2つがわかれば、ここからの時間「ま」を求めることができます。
ここからの道のり「す」と速さ「ひ」がわかったわけですから、
「す」÷「ひ」=「ま」なので、3.6÷2.4=3÷2=1.5

よって、答えは、「あと1時間30分かかる。」、となります。
この問題の場合は、「あと何時間かかりますか。」という問いなので、1.5時間という答えでも問題ないかと思います。

「ひますの絵」は使い方や位置関係がわかったら、どんなに省略して書いても構いません。書かないで頭の中にイメージできれば、それの方がよいでしょう。

ただし、「ひとまとまりの量」という考え方を「速さ」以外の広い範囲で活用するためには、その問題の「ひとまとまりの量」を完全に理解するまで、「ひますの絵」をきちんと描いたほうがいいと思います。その時に明確にしなければならないのが、「何を」「何で」ひとまとまりにしているのかいうことです。円とテープの単位をきちんと特定しましょう。

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